統合失調症は、心の病の一つで、実際には存在しない声や音が
聞こえる幻聴やあり得ないことを信じ込んでしまう妄想、頭の中が
混乱して考えがまとまらなくなる思考障害、興奮症状等があり、
これらはまとめて陽性症状と呼ばれます。
また意欲の低下や自閉傾向(閉じこもりがちなこと)など、エネルギーが
無くなったような状態になることも多く、これらは陰性症状と呼ばれます。
症状には個人差があります。
10代から40代くらいまでの比較的若い世代に起きやすく、
約100人に1人の割合でかかる病気です。
決して珍しい病気ではないのです。
この病気の特長は、症状が出ていないときは、普通の人と何ら変わりが
ないことです。 多くは20歳前後に発病しますが、幻覚や妄想は、本人に
とって全くの現実と感じられるため、発病を自覚できないことがあります。
本人より先に家族や友人が異変に気づくことも多いようです。
原 因
原因は はっきりしていませんが、その人の生まれ持った素質、生まれて
からの能力・ストレスに対する対応力、ストレスを引き起こすような環境要件
などが絡み合って発症するそうです。
脳内には神経伝達物質と呼ばれる物質が存在し、その量の異常も関係
していると考えられています。
この「神経伝達物質」が過剰に働いてしまうと、情報伝達に混乱をきたして
しまい、幻覚・幻聴といった症状が出現するのではと考えられています。
神経伝達物質の種類かなり多いのですが、統合失調症で注目されている
のは、「ドーパミン」とよばれる神経伝達物質です。
治 療
治療は、薬物療法、精神科リハビリテーション等があります。
薬物療法では、抗精神病薬という、神経伝達物質の量を調整する薬を用
います。薬の進歩は目覚しく、最近の抗精神病薬は幻覚や妄想を取り去る
だけでなく、従来の薬では難しかった陰性症状の改善にも効果があります。
精神科リハビリテーションは、その名の通り精神の不調をリハビリする
ことです。症状によって仕事や学校等の社会生活ができなくなっている
ことも多いので、集団でスポーツやゲーム、対人交流の練習等を行って
社会復帰の訓練をします。