世界初のがん治療システム ⇒ 新型陽子線がん治療システム

「最先端研究開発支援プロジェクト」として、北海道大学と日立は 世界初の
「新型陽子線がん治療システム」を共同で開発する契約を結び、日立が
「分子追跡陽子線がん治療装置」を北大に納入することに合意しました。
2011年度中に陽子線がん治療施設を北大構内に建設し14年度中に完成。
世界最先端の医療施設として注目されているそうです。
放射線治療を専門に手掛ける 白土博樹(しらと・ひろき)北大大学院教授に、
最先端の陽子線治療技術について聞いたという話を次に記します。

どのような治療技術なのか?

放射線治療は脳腫瘍などのように動かない部位の治療に適していました。
しかし、肺や肝臓のように体幹部の腫瘍は呼吸性の移動によって位置を
変えるため、腫瘍位置をリアルタイムでとらえて正確に放射線を照射する技術が 
切望されています。北大が今回開発したのは、移動する腫瘍近傍にし刺入した
金マーカーの位置をX線透視画像で自動的に把握し、予定位置に腫瘍が
来たときにのみ放射線を照射する「動体追跡技術」です。
これにより、呼吸性の移動などによって位置を変える臓器に対しても、
腫瘍位置をリアルタイムで画像に捉え、正確に放射線を照射することが、
可能になりました。

開発のきっかけは?

もともとこのアイディアは、正確に がんの部分に放射線を集中してかけられないか
~というところからきています。その研究を始めたのは 25年ほど前。
当時 CTを使って放射線を体内の深いところにある がんに集中してかける
技術が展開していましたが、それが進歩し、今回の施設は動いてる
がん細胞に高性能でできるようになったのです。

日立とはどのような技術の組み合わせになるのですか?

放射線の中でもX線より陽子線がピンポイントで照射できるので有効です。
ただこれまでは陽子線治療では、発がん性のある中性子が発生しました。
日立の技術は中性子を発生させない陽子線を照射できるもので、すでに
アメリカの がんセンターに納入しています。
北大の「動体追跡技術」と日立の「スポットスキャニング照射技術」を
組み合わせることにより、最先端技術の治療システムができるのです。

この施設に寄せる期待は?

陽子線治療は急速に普及しています。次の時代の放射線治療は陽子線を
装置として、いかに安く小型で効果の高いものを作れるかです。
すでに世界的に競争が始まっています。北大、日立の技術の組合せによる装置、
システムが世界中に普及する状況にもっていければ、北海道発の産業としても
期待できます。もちろん、地元の医療機関としても、最先端技術治療の目玉に
なってくれるのではないかと期待しています。

流石、大学院教授の話でしたので、凡人の私には、かなり難しい内容でしたが、
とにかく、最先端の医療技術が開発され、たくさんの がん患者が助かるので
あれば、これは 嬉しいことです。 今後を期待したいと思います。